仙台整体日誌:腰痛の話.2「見逃される構造防衛のための痛み」
2025/04/01
前回では痛みの原因の種類を考えなければならないというところまでお話ししました。
痛みの原因の種類は端的に言うと実は三つだけで、一つ目は炎症、二つ目はその逆である血流不全、三つ目は構造を守ろうとする防衛反応であると。
これは基本と言えば基本ですが、三つ目の反応(構造防衛のための痛み)が意外に語られることが少ないわけです。
私たち人間は、哺乳類の中で常時二足で歩行する唯一の存在です。
その最上部にはこれまた動物の中で最大級の脳を戴いている。
脊柱を立てて移動させるという離れ業を、その緻密な構造でいとも簡単に成し遂げているのが人間です。
月に人類を送り、太陽系の他の惑星にも探査機を送り出せるまでに技術を発展させた人類でも、いまだに人間と同じ程度に歩ける二足歩行ロボットは作れていないという事実があります。
そもそも、私たちは、脳とそそこから繰り出される指令こそが、これらの運動を実現させていると思いがちでしょう、しかし、実はそんな指令は微々たるもので、その達成はほとんど構造の力に負っているのです。
詳しくは拙著(「身体構造力〜日本人のからだと思考の関係論」幻冬舎刊)をお読みいただきたいのですが、脳からの電気信号の伝達速度では普通に立っていることすら間に合わないのです。
人間の運動のほとんどは、その構造の力によって成り立っている。脳はそれらから得られる様々な情報を得た上での反射をしているに過ぎません。あくまで「補佐的な役割」なのです。
その働きの一つに「痛みの信号の発出」があります。
人間の体の痛みは100%、脳と神経が作り出している。これは無痛症の赤ちゃんが存在することからも明らかで、先天性で痛みを感じる神経が欠損もしくは不全で生まれてくると、彼らにとって痛みはもはや存在しません。(と説明しておいてなんですが、現在では脳の部位というよりはその先の抹消神経の問題だということがわかっています。ちなみにこの遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチーの最初の患者は日本で発見されました。)
ただ、身体から送られてくる様々な情報を痛みと捉えるか否かというのは脳の判断であるというのは間違いありません。
それには大脳皮質と視床という部位が関わっています。
身体は常に様々な刺激にさらされています。ただし、それは内部でも同様で、人間の体の中は隙間を許しませんので、神経も常に圧迫をされたり引っ張られたりしています。
その情報は全て脳に送られていますが、大半は無視されているという状況。
脳が「これは通常の刺激にすぎない」と判断すれば、それはついぞ私たちの意識にのぼることはありません。
その取捨選択に、構造からくる歪み、そしてそれから起こる筋肉や腱の異常な緊張が絡んできます。
炎症反応は構造が壊れた後のものです。客観的な事象として捉えやすいので、近代医学はそれらの処置を主に進化させきた歴史があります。なので対症療法が優位に立ちやすいのです。
しかし、その手前「これ以上の構造異常を放置すると壊れてしまう」という時点でも、脳は痛みを出す。
ただ、これは構造とその動きに対する理解そして経験がなければ察することができないのです。
そもそも、原理的に構造と感覚に関する論文は作りにくいから、現代医学のマニュアルに載らない。
薬剤で痛みを抑えても、これは人工的に無痛症を引き起こしているだけなので意味がありません。
これはシナプスの易疲労性を利用して鎮痛効果を出そうとする低周波治療なども同様です。
または揉み療治も強度によっては同じことです。
その構造変更を促すにはしっかりと骨を動かすアプローチを行わなければならない。
そして、やはり身体から脳を変えるという意識を持つことが必要になります。
少し長くなりました。続きはまた次回。
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